2018年 04月 11日
ワールドカップ、出たいですか?
仕事がまったく手につかないので、妄想を書いてみようと思う。
言っておくが、ただの妄想だ。裏付けなど一つもない。
サッカー日本代表・ハリルホジッチが解任された。この事実に大きなショックを受けている。
分析が得意で定評があり、過去のワールドカップで結果を残している彼が、本大会出場を決めてから国際親善試合(テストマッチ)を通じて結果を求めずに何をテストしていたのか。
タイプの異なる3か国を相手にどういった戦い方をしてくるのか。ハリルは相手をどう見ていたのか。「答え合わせ」をする感覚でワールドカップが見れる。そう楽しみにしていた。
もちろん勝ってほしいと願ってはいたが、それよりもどういう意図を持っていたのか、どう伏線を回収していくのか、ここをすごく楽しみにしていたのだ。
だが、本番2ヶ月前にまさかの解任。そして、就任するのは一時代前の名将、「いまさら感」西野朗。
本当にがっかりし、「なぜいまさら西野なのか?」と憤ったが、西野、会長の田嶋、選手たちの言動を見ていると、当たり前のことに気付く。
ワールドカップに出たいか?
そう問われ、または自問し、出たくないと考えるサッカー選手がいるのだろうか? 出たくないと考える監督がいるのだろうか?
・・・・・。
ガンバ大阪で一時代を築いた西野朗。
柏レイソルを率いたのち、ガンバを10年ほど指揮してタイトルも取ったが、後年は思うような成績を上げることが出来ず2011年に契約満了で退団。
翌2012年にヴィッセル神戸で指揮を執るも、成績不振でシーズン途中で解任され、2014年から2年間指揮をとった名古屋グランパスでも芳しい結果は得られず2015年末に契約満了で退団。契約満了とは事実上クビということだ。
3つのクラブでうまくいかなければ次の就職先はずいぶんと厳しい。西野はもう終わった。そう思っていた翌2016年の3月、なんと日本サッカー協会の技術委員長、日本代表強化の責任者に就任した。
3ヶ月前まで「監督業」をしていた人間が、日本代表をコーディネートする、監督選定の権限をもつ立場になったのだ。
日本国内で20年近く監督しかやってこなかった人間が、世界中にいる監督候補を知っているのか、もしくは世界に通じるコネクションがあるのか。あるわけがない。こいつは多分、というか西野を選任した会長の田嶋も次の監督は日本人の中から探すつもりなんだろう、と。そう思った。
2017年に最終予選を勝ち抜いた日本代表・ハリルホジッチ監督は、そこからの一年間、テストマッチは常に勝つわけでもそのつもりもなく、同じメンバーでチームを熟成を図る手法はとらず、ずっと選手選考、試合中の局面の対応能力のテストを繰り返していた。
その間、西野は協会から上がってくるレポートを眺めながら何を思っていたのか。
一般的にいえば、ハリルホジッチでうまくいかないなら、次を誰に任せるべきか、不測の事態のために後任候補の選定を行っていたということだろうが、それよりも彼は「自分だったらこうしているのにな」とずっと考えていたのではないだろうか。
実際に監督を長くやってきたのだ。いろんなアイデアも頭の中には浮かんでいただろう。
このアイデアを叶えてくれるであろう最適な監督は誰だ? いや、このアイデアは誰が考えた? 自分でもできるんじゃないか? いや、そもそも自分以上に詳細に日本代表のことを考えている人物がいるのか? いるわけがない。適任とはだれだ・・・・・?
オリンピック代表チームも率い、Jリーグの最多勝利監督でもある彼が、そう考えてもなんの不思議もないと思う。
メディアでは、解任するのなら1年前の本大会を決めた直後がベストだったという意見が多い。
そうだろうと思うが、そのタイミングでコネクションのない西野が後任のアテをつけていたとは考えづらい。むしろ自分が適任だと思っていただろう。しかし西野本人が「自分がやる」とは言い出せない。後任探しという重要職務を放棄しているようにも見え、ましては技術委員長としてハリルを支えていかないといけない立場だ。バッシングを受けるのは目に見えているし、仮に就任したとしても、本大会までの一年間のテストマッチの成績から解任される危険性だってある。ワールドカップで指揮を執ってみたい、まだ日本人には一人しかいない【ワールドカップ代表監督】という称号を自分もほしい。そのタイミングは一年前ではなかった。
そして、2018年3月。
2試合のテストマッチでハリルホジッチはまたもテストを繰り返し、凡庸な内容で一分一敗の成績で終えた。
直近の試合で手の内を見せるバカがどこにいる?ハリルホジッチはそう考えていただろう。しかし、結果の出ない代表に対し、メディアはバッシングを強め、解任論を叫ぶものも増え、スポンサーは騒ぎ出し、選手も公然と監督批判をするようになった。
この時点で解任するのは本大会を見据えればリスクしかない。しかし視点を変えれば、このタイミングで就任した次の監督は、ほぼ100%の確率で本大会を指揮できる。ハリルホジッチは四面楚歌。タイミングはここだった。ここしかなかった。このタイミングを彼はずっと待っていた。
田嶋は田嶋で「ゆくゆくは日本人に代表監督を任せたいと思う」と以前から語っていた。
実際に「日本人に任せた」となれば会長としての実績にもなるだろう。そして「田嶋さんと仲良くなっておけば、もしかしたら自分も日本代表監督に就任できるかもしれない」と考える指導者がすり寄ってもくるだろう。
彼は、会長就任選挙で敗れた対立候補に対し、躊躇なく報復人事を行い、自身を応援してくれた人間のみを重用した。今回の解任に関して世間からはバッシングを浴びるだろうが、協会内の人間にはいろんな影響を与えたと思う。
解任会見でも語ったように今回の件で責任をとるという考えは微塵もない。彼が望むのは今後も日本サッカー協会というピラミッドの頂に立ち続けることだ。そのために自分を推してくれる人間をどうやって増やすのか、会長としての実績をどう出すのか、と考えているのは当たり前のことだ。
6月のワールドカップでは「選手の意向を尊重する」という名目、スポンサーの意向も取り入れ、ここまで不遇をかこっていた本田や香川、岡崎など、世間一般的に知名度の高い選手が選ばれていくだろう。単純に、人気順に選ばれていくのではないかとも思う。そうした「オールスター」を従えて、2人目のワールドカップ代表監督の名声を手にした西野が本大会を戦うのだ。
ワールドカップに出たいか?
出たくないと考える「監督」などいない。
人生の集大成としてこれ以上ない称号を得ることができる。
人生を左右する名声を手にしたいと願う人間が、監督選定の権限を持っていた。立場は違えど彼はいつまでも「監督」だった。そして、練りに練った構想を適切なタイミングで、同じ野望を持つ者たちとともに披露した。その彼らのために、ハリルホジッチという日本代表にとって良薬だったかもしれない人物は「毒」としてキャスティングされたのだ。
ただ、それだけのことだ。
# by yamjoriyo | 2018-04-11 10:03